
Salesforceはクラウドで動いているので、データが消える心配はない。そう考えている方は少なくありません。確かに、システム障害でデータが失われることはまずありません。しかし実際に起きるのは、人の操作による削除や上書きです。
一括取り込みで取引先の電話番号をまとめて上書きした。設定した自動処理の誤りで、商談の金額が一斉に書き換わった。こうしたときに「いつ時点の状態に戻せるか」を決めるのが、バックアップの役割です。
1.Salesforceに標準である備えと、その限界
- ごみ箱:削除したデータは一定期間ごみ箱に残り、戻せます。ただし「上書きしてしまった内容」は戻せません。
- データエクスポート:全データをCSVで書き出す機能です。週次や月次で自動作成できますが、ダウンロードできる期間が限られています。誰かが毎回保存しなければ、必要なときに手元にありません。
- 項目の変更履歴:指定した項目について、誰がいつ何を変えたかを記録できます。対象の項目数に上限があり、「元に戻す」には使えません。
- Salesforceの有償バックアップ製品:自動でバックアップを取り、復元までできます。費用は利用人数やデータ量に応じて変わります。
2.何を守るかを決める
全てを同じように守る必要はありません。まず次の三つに分けて考えます。
- なくなると業務が止まるデータ:取引先、商談、契約、請求に関わるデータなど。
- 後から作り直せないデータ:営業の活動記録、お客様とのやり取り、添付ファイルなど。
- 設定:項目や画面、自動処理の設定。データとは別に控えを取っておくと、「誰かが設定を変えてからおかしくなった」ときに原因を辿れます。
3.どこまで戻せればよいかを決める
バックアップの方法を選ぶ前に、次の二つを決めておくと判断が楽になります。
- 何日前の状態に戻せればよいか:前日でよいのか、一週間前でも許容できるのか。
- どれくらいの時間で戻したいか:その日のうちに戻したいのか、数日かかってもよいのか。
「前日の状態に、その日のうちに」なら、毎日の自動バックアップと復元の手順が必要です。「一週間前でよく、数日かかってもよい」なら、標準のエクスポートを確実に保存する運用でも対応できます。
4.バックアップの方法
主な選択肢は三つです。
- 標準のエクスポートを定期的に保存する:費用はかかりませんが、保存は手作業です。復元も自分たちで行います。
- クラウドの連携サービスで自動保存する:Skyviaなどで、毎日自動で控えを取り、必要なときに指定したデータだけ戻せます。小さな費用で始められます。
- 専用のバックアップ製品を使う:Salesforceの有償製品や専業ベンダーの製品です。復元の手軽さや監査への対応は最も整いますが、費用は高くなります。
取引量や扱う情報の重要度に応じて選びます。多くの中小企業では、二つ目が費用と安心のバランスに優れています。
5.忘れがちなこと:戻す練習
バックアップがあっても、戻し方を知らなければいざというときに使えません。半年に一度でよいので、テスト環境で「取引先を数件戻してみる」練習をしておくことをおすすめします。そのときに、戻す判断を誰がするかも決めておきます。
X-mov Japanの支援
X-mov Japanでは、守るべきデータの整理から、方法の選定、自動バックアップの設定、戻し方の手順書づくりまで支援します。「いまバックアップが取れているか分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。



