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IT予算は売上の何%が目安か。専任の担当者がいない成長企業の考え方

IT予算を売上の何%にするか。国内外の調査を参考に、専任の担当者がいない成長企業の予算の目安、利益との比較、導入後の定着・改善、外部の専門家の選び方を整理します。

記事制作・監修
X-mov Japan株式会社
予算表・電卓・クラウド・分析画面でIT予算の検討を表す解説イラスト(AI生成)

IT予算の決め方は、成長を目指す企業にとって投資判断の一つです。業種ごとの標準、成果を出している企業の水準、国内の中小企業の実態をもとに、予算の目安と決め方を整理します。

1. 予算の目安は、業種の標準と成果を出している企業の水準から考える

欧米の標準と、成果を出している企業の水準

IT予算の売上比は、業種によって大きく異なります。Deloitteの調査では、製造・建設は売上の2%未満でした。米国のIT責任者調査SIM(2017年)でも、小売・卸売は1.4%、建設は1.6%です。

デジタルで成果を出している企業は、この標準より多く投資する傾向があります。Deloitteの調査では、先進企業のIT予算は売上の6.35%で、比較対象企業の3.38%を上回りました。ただし、調査によって差の幅は異なります。Iansiti教授らの研究では、先進企業が3.5%、遅れた企業が3.2%でした。

予算の使い道にも差があります。Deloitteの先進企業は、IT予算の26%を新しい取り組みに使い、事業運営の費用は半分に満たない47%でした。

基本は売上の2〜3%程度、変革期は5%程度までを検討する

これらの調査を参考に、予算検討の出発点として売上の2〜3%程度を考えます。営業管理やデータ活用を大きく変える時期には、5%程度までの引き上げも含めて、投資を判断します。

この目安は、調査をもとに整理した提案値です。欧米の調査は大企業が中心であり、同じ規模の企業の実測値ではありません。比率を使い切ることを目標にせず、自社で変えたい業務から必要な費用を積み上げます。

2. 国内の中小企業の実態

積極的な会社ほど、投資額が大きい

日本政策金融公庫の2025年調査では、デジタル化に使う金額は、会社の取り組み方針によって大きく変わります。かなり積極的に取り組む会社の投資額は、どちらでもない会社の4倍以上です。

従業員49人以下でも、かなり積極的な会社の投資額は、100人以上で消極的な会社を上回ります。規模だけでなく、取り組み方針によっても投資額に差が見られます。

4割強の会社は、予算を立てていない

東京商工会議所の調査では、中小企業の4割強がデジタルシフトの予算を立てていません。最初に行うのは、年度予算にIT予算の枠を作ることです。

3. 利益と比べて、金額を確認する

IT投資の費用と利益を天秤で比較する解説イラスト(AI生成)

投資額は売上比率だけでなく、利益や継続費用と合わせて確認します。画像はAI生成イメージです。

売上10億円、営業利益率5%の会社を例にします。営業利益は5,000万円です。売上の2〜3%は年間2,000万〜3,000万円で、営業利益の4〜6割にあたります。金額は、次の3点から確認します。

  1. 段階に分けて使う。一度に使い切らず、成果を確かめながら進めます。既存の利用料・保守費用と、新たな投資額を分けて把握します。
  2. 回収は利益で考える。年間2,000万円は売上の2%に相当します。売上10億円のまま営業利益率が2ポイント改善すれば、増える営業利益は年間2,000万円です。追加の利用料や運用費を差し引いた後の効果で確認します。売上増は粗利益で評価し、時間削減は残業・外注費の削減や営業活動への振り向けまで確かめます。
  3. 数年の期間で確認する。回収期間は3年程度を一つの検討期間にします。ただし、一律の基準ではありません。初期費用と毎年の費用を分け、効果が出る時期を含めて判断します。

例えば、初期費用1,200万円、毎年の追加運用費300万円、年間の現金効果700万円なら、単純回収期間は1,200万円÷(700万円−300万円)=3年です。税や資金調達費用、効果が出るまでの期間は別途考慮します。

米国の大企業を調べたBrynjolfsson & Hitt(2003)の研究では、ITと生産性の関係は、1年より5〜7年の期間で見たときに大きくなっていました。これは、個別投資の回収期間が3年だと示す研究ではありません。

4. 何のために投資し、何を期待しているか

中小企業がデジタル化に取り組む目的は、業務効率化が最も多く、9割を超えます。期待する効果も、コスト削減と自動化が中心です。

ITを他社との差別化に活用している会社は、効率化に加えて、顧客満足の向上や新しい事業づくりも目的にしています。顧客満足の向上を目的に挙げる割合は、全体で約3割ですが、この会社群では約6割です。

最初の目的は、時間とコストの削減から始めます。同時に、顧客や売上に関わる目的を一つ決めます。顧客管理システムは、効率化と顧客満足の両方を目的にできます。

5. 成果を出すには、導入後の運用も欠かせない

目標設定・利用・振り返り・改善のサイクルを表す解説イラスト(AI生成)

導入後も、経営・現場・外部の専門家で業務と目標を共有します。画像はAI生成イメージです。

期待どおりの成果が出た会社は、半数に届かない

日本政策金融公庫の2025年調査では、デジタル化が業績に期待どおり以上のプラスをもたらした会社は45.7%でした(期待以上2.0%、期待どおり43.7%)。期待したほどではなかった会社が23.8%、効果が分からない会社が30.6%です。端数処理により、合計は100%になりません。

効果が分からない会社を、成果が出なかった会社と同一視することはできません。導入前に、何を成果として測るかを決めておく必要があります。

導入後に確認したい4つの運用課題

  • 成果の目標が決まっていない。成果が分からない理由として、目標を決めていないことが多く挙がっています(IPA)。効果を測定できていない会社は約2割です(東京商工会議所)。
  • 推進する担当者がいない。「旗振り役が務まる人材がいない」が約3割で、課題の上位です(東京商工会議所)。
  • 現場が使いこなせていない。「従業員がITを使いこなせない」が約2割5分です(東京商工会議所)。
  • 経営・IT・現場の協調が取れていない。協調ができている日本企業は約4割で、米国の約8割弱を下回ります。成果が出ている企業ほど、協調ができています(IPA)。

4つとも、運用を回す体制と進め方に関わる課題です。導入作業が終わった時点で外部の支援も終わると、この部分は担当する人がいないまま残ることがあります。ただし、調査から成果が出ない原因のすべてを運用に特定することはできません。製品の適合性や、導入前の業務設計も確認します。

X-mov Japanの伴走支援で補える点

伴走支援は、導入後も継続して関わり、事業目標に沿って運用をお客様と一緒に回す支援です。特徴は次の3つです。

  1. 事業目標から逆算して決めます。導入前に、事業目標から変える業務と成功の基準を一緒に決めます。成果の目標が決まっていない状態を、ここで解消します。
  2. 月1回の定例で、導入後の状況を確認します。売上・利益や利用状況を確かめ、使いにくさや運用上の課題を見直します。次に取り組む業務も、この場で提案します。
  3. 社内の担当者の役割を補います。専任の担当者がいなくても、設定変更や問い合わせへの対応を伴走支援に含めています。システム連携や活用範囲の拡大は、必要な範囲を相談して決めます。

経営層と現場の協調が取れていない場合は、業務の流れを図にして、同じ前提を確認します。社内にも、優先順位や予算を決める責任者と、現場の窓口を置きます。

受注実績のある企業のうち約4割が、2件目以降のご依頼をくださっています(自社集計、2021年5月〜2026年8月末)。

6. 外部の専門家には、導入後の運用まで相談する

外部と連携できている会社は、日本では少ない

外部の組織と連携できている日本の100人以下の会社は約17%です。米国は約60%で、大きな差があります(IPA)。

相談先は、ツールの選択に集中している

公庫の調査では、デジタル化の相談先がある会社は55.9%です。相談先がある会社の相談相手は、ITベンダーが50.5%で最も多く、次いで税理士・公認会計士が32.8%、自社の役員・従業員が27.7%、コンサルタントが19.7%です(複数回答)。

相談の内容には偏りがあります。ITベンダーへの相談では、「目的に合うデジタルツールの選択」が75.7%で最も多くなっています。「デジタル化の推進を主導する人材の確保」は1.5%、「デジタル化に向けた機運の醸成」は3.1%、「社内のデジタルリテラシーの向上」は4.4%にとどまります。コンサルタントへの相談でも、人材の確保は4.2%、機運の醸成は8.7%です。

この数字は相談している割合であり、各社がその支援に対応していないという意味ではありません。導入後の定着と推進についても、必要な支援を具体的に相談することが大切です。

相談をツール選びで終わらせないために

まず、困っている業務と、変えたい結果を伝えます。製品名が決まっていなくても構いません。例えば「見積もりを出すまでに5日かかる。2日に縮めたいが、社内に改善を進める担当者がいない」と相談します。現在の業務の流れ、使っているシステム、目標、社内で対応できることを一枚にまとめると、必要な支援を整理しやすくなります。

次に、業務の整理から利用定着まで、どの役割を任せるかを決めます。現状調査、業務の見直し、ツール選定、設定、従業員への説明、問い合わせ対応、導入後の改善を分け、社内で担うことと外部に任せることを確認します。専任者がいない場合は、導入作業だけでなく、課題を集めて改善を進める役割まで依頼できるかを確認します。

契約前に、導入後の確認方法と費用を決めます。誰が、いつ、利用状況と成果を確認するか。使われていない場合に誰が対応するか。改善の提案や設定変更が、どこまで支援に含まれるかを見積もりに明記してもらいます。社内には意思決定者と現場の窓口を置き、例えば月1回、課題と次の対応を一緒に決めます。

外部の専門家に確認したいこと

東京商工会議所の調査では、ITベンダーを選ぶ際に重視する点として、導入コストに加え、自社の業務フローと課題を正確に把握してくれるかが、5割を超えています。専門家を選ぶときは、次の4点を確認します。

  • 業務の流れを理解してから設計するか。製品の提案より先に、現在の業務と目標を確認します。
  • 導入後の利用状況を確認し、改善を続けるか。定着と改善の支援まで含まれるかを確認します。
  • 構築した会社に限らず、相談できるか。他社が構築した環境でも、現状を確認して改善案を出せるかを確認します。
  • 範囲と費用を、段階に分けて決められるか。最初から全社導入を前提にせず、小さな範囲から進められるかを確認します。

X-mov Japanの体制

X-mov Japanは、これらの点に沿って支援しています。設計・構築を担う構築チームと、定着・改善・利用拡大を担う伴走支援チームが、お客様の業務と目標を共有します。導入後に見つかった課題は、次の設計に反映します。

構築・定着・拡張・変革のどの段階からでも相談できます。他社が構築した環境の引き継ぎも受けています。一つの業務の改善から始め、効果を確かめながら範囲を広げることも可能です。

7. 予算の決め方は3ステップ

  1. 変えたい業務を一つ選び、成功の基準を一行で書きます。たとえば、見積もりを出すまでの日数を5日から2日に縮めます。期限と、現在値を測る担当者も決めます。
  2. 必要額を積み上げ、予算を確保する方法を組み合わせます。既存予算の組み替え、成長に向けた新たな投資枠、改善で実際に生まれた余力の再投資などから考えます。初期費用と毎年の費用を分け、最初に取り組む範囲に必要な額を決めます。
  3. 導入費で使い切らず、定着と改善の枠を残します。使い始めてから、次の課題が見えるためです。初年度予算の2〜3割を、導入後の改善に残す考え方もあります。これは提案値であり、標準配分ではありません。

予算を確保する方法と、初年度の負担を抑える方法

方法

具体的な考え方

既存の支出を組み替える

使っていないソフトに加え、重複する契約や業務ごとの外注費も確認します。新しい仕組みで置き換えられる支出を整理し、IT予算へ振り向けます。解約や切り替え前に、データと業務への影響を確認します。

成長に向けた投資枠を設ける

営業強化、顧客対応の改善、人手不足への対応など、経営計画の中にIT投資を位置付けます。期待する効果、継続費用、使える資金を確認し、既存のIT予算とは別に必要な枠を判断します。

改善で生まれた余力を再投資する

小さな業務改善から始め、実際に削減できた残業代・外注費や、増えた利益の一部を次の改善に回します。作業時間が減っただけで、その分の現金が確保できたとは扱わず、資金への効果を確認します。

導入する範囲と時期を分ける

最初は一つの業務・部署・必要な機能に絞り、初年度の支出を抑えます。効果と運用負担を確認してから、翌期以降の予算で範囲を広げます。

既存契約の整理で十分な額が出なくても、そこで検討を止める必要はありません。必要な業務改善に対していくら投資するかを先に考え、資金と優先順位に合わせて、予算の確保と実施の段階を組み合わせます。

8. 比率は、目的と成果の測り方を決めてから確認する

目安は、売上の2〜3%程度から考えます。変革の時期には、5%程度までの引き上げも含めて検討します。

金額より先に、使い道と成果の測り方を決めます。目標、担当者、使いこなし、協調といった課題に対応するため、導入後の定着・改善の枠は、最初から見込みます。効果は短期だけで判断せず、数年の期間でも確認します。

外部の専門家には、導入後の運用まで相談します。相談内容はツールの選択に集中しやすいため、定着や推進についても必要な支援を明確に伝えます。

X-mov Japanでは、現在の業務と目標を伺い、予算の整理から導入後の改善まで支援します。製品が決まっていなくても、ご相談いただけます。

X-mov Japanの伴走支援について / お問い合わせ・ご相談

出典

この記事の数字について

売上の2〜3%程度と5%程度、初年度予算の2〜3割は、調査と支援経験をもとに整理した提案値です。同規模の会社の売上比を調べた実測値ではありません。国内の調査は業種を問わない中小企業が対象で、法人向けの取引が中心の会社だけを抜き出した値ではありません。欧米の調査は大企業が中心で、2016〜2018年のデータを含みます。投資と成果の関係は相関です。個別の事情によって、適切な水準は変わります。

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